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IT
どこまでも成長できる環境で身につけた姿勢がアプリ開発の仕事に生きている
原田伶央
- 職業:
- Androidエンジニア
- 所属:
- 株式会社サイバーエージェント
現在の仕事内容について
原田さんは総合学園ヒューマンアカデミーのITカレッジを卒業した後、株式会社サイバーエージェント様に就職されていますね。現在の仕事内容について教えてください!
株式会社サイバーエージェントのAmeba LIFE事業本部に在籍し、Androidエンジニアとして活動しています。現在は、月間7,500万人が利用する「Ameba」のAndroidアプリの開発に携わっています。具体的には、ブログ上の新機能開発・メンテナンスを通して、より多くの人にブログを読んでもらったり、ブログで紹介された商品を欲しいと思ってもらったりと、ユーザーにより良い体験を届けるのが私のミッションです。その一方で、ユーザーとは別にアプリで使用している技術や設計の刷新、つまり「Ameba」のシステムと向き合うこともあります。
「Ameba」は歴史も知名度もあるブログメディア。エンジニアとして関わるプレッシャーも大きいでしょうね。
そうですね。たくさんの人が利用するサービスなので、不具合が起きた時の影響範囲は大きいですし、「Ameba」の規模が大きくなるのに伴い、システム自体も複雑になり、実装することの難しさを感じることもあります。とはいえ、ユーザーの反応をダイレクトに実感しながら、自分の知識や技術が日々向上していく楽しさの方が大きいですね。
プログラミングを学び始めたのはヒューマンアカデミーに入学してから
そもそも、原田さんがプログラミングを学び始めたのはいつですか?
「エンジニア」というと、子どもの頃からシステムやアプリ開発をしていたと思われがちですが、プログラミングを学び始めたのは、ヒューマンアカデミーに入学してから。高校でもプログラミングの授業がありましたが、授業の内容がほとんど理解できず、どちらかというとエンジニアの適正がない方だったと思います。
てっきり、子どもの頃からエンジニアを目指していたのかと思っていました!
確かに、私の周りにも、中学生の頃からパソコンを改造していたという根っからのエンジニア気質の友達もいました(笑)。私は高校卒業をした後、某有名私立大学に進学するために受験浪人していました。最終的に2年間宅浪を経験したのですが、惜しくも結果は不合格。ただ、子どもの頃からものづくりは好きでしたね。それも、絵を描いたりデザインをしたりする感覚的な思考よりも、正しく考え抜けば必ず動く、論理的な思考のものづくりの方が自分に合っていると思っていました。浪人中は沢山の時間をかけて受験と向き合いましたが、最終的に望んだ結果を得ることはできませんでした。その一方で、プログラミングに一点集中して向き合えば自分の適性も相まってかなりチャンスになる。そこで、以前から興味のあったプログラミングに全力を傾けようと決意しました。
そこから、具体的に進路を探すことになるわけですね!
はい。プログラミングスクールに入ることも考えていたのですが、親や友人に相談したところ、「数か月そこらで身につくものではない」と言われて、改めて進学先を探し始めました。あの時プログラミングスクールに進んでいたら......今の自分はないかもしれません。相談にのってくれた親や友人には感謝しています。
自分次第で何でもチャレンジできる環境が入学の決め手
その後、ヒューマンアカデミーITカレッジに入学されたわけですが、選んだ理由について教えていただけますか?
プログラミングに関する知識がまったくなかったため、いろんな体験ができる環境を探していました。その点、ヒューマンアカデミーのITカレッジには、チームでシステムやアプリを開発する実習も豊富ですし、資格試験のための座学も充実しています。また、これは入学後に気づいたことですが、長期インターンシップに参加することで、リアルな現場を知ることも、実務経験を積むことも可能です。自分次第で何でもチャレンジできる。そんな環境で学ぶことで、どこまでも成長できるのではないかと考えて、ヒューマンアカデミーを選びました。
入学してからは、どのようなことを意識して学んでいましたか?
ヒューマンアカデミー入学後は、受験勉強以上の熱意で学び続けました。どんなに小さくてもいいから、「成果を残して幸先の良いスタートを切りたい」という想いがあったのだと思います。真っ先に取り組んだのが、資格取得のための勉強。ITパスポートを最初の月で取得し、次は基本情報技術者試験に挑戦しようと思っていた矢先に、コロナ禍で試験の延期が決まりました。一時的にモチベーションが下がったものの、勉強している過程で、人に説明できるようになるまで理解を深めることの大切さを知りました。当時は人に説明することで、試験問題がより解けるようになるとしか考えていませんでしたが、インターンを経験した際に、このアプローチは仕事においても役に立つと実感しました。実際、プログラミングの仕事は、不明瞭なものを言語化して明確にする作業でもありますし、仕事でわからないことは文献からキャッチアップするのが基本になるので、資格試験のための勉強と大きくは変わりません。
資格取得のために勉強することで知識を習得できるので、プログラミング未経験の方にはおすすめしたいですね。
そうですね。「資格取得」という目標があると、そこに向かって勉強していけば、確実に前進しているという安心感もありますし、勉強している過程で気づきや学びも多いと考えていたので、資格取得を目標に掲げていました。とはいえ、資格取得に集中しすぎるのも考えもの。資格試験で問われるものと現場で求められるものは違いますし、エンジニアの仕事は手を動かしてものを作ることにあります。ただ、私の場合は資格試験のための勉強を通して、技術や用語を人に説明できるようにするという考え方が培われました。資格取得という目標に向かって頑張るのも大切ですが、資格取得後を見据えて、その経験をどのように生かしていくかを考えることが大切だと思います。
インターンシップに参加するまでにアプリを3つ制作
その後、インターンシップ、就職活動に取り組んでいくと思いますが、どのようなスケジュールで進めていましたか?
1年生の3月までに学んだ内容を生かしてオリジナルのアプリを制作する、作ったアプリを生かして、インターンシップに参加する会社を探して応募する、2年生の9月にインターンシップでの実務経験を生かして面接を受けるというプランを立てました。インターンシップに参加するまでにアプリを3つ制作し、その間に学んだことを記事にして、ブログで発信することを習慣にしていました。
インターンシップに参加するまでにアプリを3つも作ったんですね!
はい。実はアプリをリリースする前に、10社ほどインターンシップへの参加を申し込みましたが、全部落ちてしまったんです。自分に何が足りないかと考えたときに、エンジニアとしての経験が不足していました。そこで、自分の実績を作るために、試行錯誤しながらアプリを作りました。特に3つ目のランニングのアプリは、インターンシップ先企業からの評判が良く、作品は武器になると実感しました。
学生は作品を作っているだけで、「学生なのにここまで考えらえた作品を作っていてすごいね」と過大に評価されます。もちろん、作品自体のクオリティはまったく見ないわけではないものの、作品を作っている人と作っていない人を比べた時に、作っている人の方が一緒に仕事をする時のことをイメージしやすいという安心感があるので、やはり時間をかけて取り組んだ方が良いと思います。
現場で活躍するエンジニアの仕事ぶりを見て学んだインターンシップ
インターンシップに参加した回数と期間について教えてください。また、インターンシップではどのような経験をしましたか?
BtoCサービスを提供するインターネット企業で8か月間インターンシップを行いました。インターンシップでは、仕事としてプログラミングをすることの責任の規模の大きさとともに、ひとつのプロダクトを作るのに多くの人が関わっていることを実感しました。プロダクトマネージャーやデザイナー、エンジニアなどが集まって、このアプリをたくさんの人に使ってもらうにはどうすればいいか、収益を上げるためにはどこを改善すれば良いかなどを真剣に考えて取り組んでいる様子を間近で見ながらも、規模が大きいサービスからこそ、責任も伴うことを肌で感じました。現場で活躍するエンジニアの仕事ぶりを見て学べたことで、インターンシップ後も意識しながら学習することができました。
その後、就職活動に臨んで株式会社サイバーエージェント様から内定を得ましたが、就職活動で大切にしていた会社選びの「軸」はありますか?
就活の軸は、「ユーザーファーストな開発をする」でした。これは、初めてアプリを作った際に、先生やクラスメイトからフィードバックをもらったのですが、ポジティブなコメントが寄せられた一方で、「もっとこうした方が良い」といった意見もありましたね。その意見をもとに修正を行うのですが、このやりとりがとても楽しかったのです。それまで、一人でもくもくと制作していたのが、いざユーザーの手に渡り、ユーザー本人が感じたフィードバックをもとに開発をするというプロセスが、こんなにも楽しいものだとは思いませんでした。エンジニアとしての喜びは、ユーザーに対して誠実な開発をすることにあると実感しました。
社内外から評価されるようなエンジニアを目指す
原田さんの今後の目標について教えてください。
そうですね。まずはAndroidエンジニアとして、社内外どちらからも評価されるようなエンジニアを目指したいと考えています。私はこれまでの経験で得た知見をお伝えする講演活動を行っていますが、実際の仕事との関連性はそこまで高くありません。社内での取り組みを社内で評価されることも大切ですが、仕事で得た知見を講演活動やブログを通して発信できたらと考えています。社内での仕事と社外での講演活動をうまくつなげられたら、普段の仕事も楽しくなりますし、社外からも評価され、いろんな場所で活躍できると考えています。ゆくゆくは、そういった環境を自分で作っていきたいです。
今自分ができることに全力で取り組む
ありがとうございます。最後に、これからエンジニアを目指す高校生に向けてメッセージをいただけますか?
今でこそエンジニアとして働いていますが、高校時代はプログラミングの授業についていくのがやっとで、タッチタイピングもできない状態でした。それでも、タッチタイピングをできるようにしよう、資格試験に挑戦しようと、目標を立てては達成し、また次の目標を立てて達成するというように、少しずつ成長してきました。どんなに小さな目標だとしても、目標に向かう過程で得られる学びや気づきは多いですし、そこで積み重ねた経験は、就職活動や仕事において必ず役に立ちます。私の場合は、資格試験に挑戦する過程で、技術や用語を人に説明できる状態にすることの大切さに気づき、その習慣がそのままアプリ開発に生かされています。今自分ができることに全力で取り組むことが大切だと思います。
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原田伶央
- 職業:
- Androidエンジニア
- 所属:
- 株式会社サイバーエージェント