ゲーム
学校生活は長いようで短いもの。「自分から」の行動が今につながる
羽鳥歩
- 職業:
- ゲームプログラマー
- 所属:
- 株式会社セガ
現在の仕事内容について
羽鳥さんは総合学園ヒューマンアカデミーのゲームカレッジを卒業した後、株式会社セガに就職されていますね。セガといえば、コンシューマーゲームやソーシャルゲームの開発を手がけるゲーム会社です。人気タイトルも多いと思うのですが、羽鳥さんはどのようなゲームを担当されているのですか?
2024年4月に株式会社セガに入社し、半年間の新入社員研修を経て第一事業開発本部 第二事業部 第二開発第二部 第二プログラムセクションに配属されました。ここではセガを代表するゲームキャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を主人公とした「ソニック」シリーズの開発を行っています。
「ソニック」シリーズは日本にとどまらず、世界中で愛されているゲームタイトルですね。このタイトルに関わることは、入社前から希望されていたのでしょうか?
入社前に希望は出せたはずですが、もちろん希望通りになるとは限りません。セガはコンシューマーゲーム、ソーシャルゲーム、アーケードゲームの開発を手がけていますが、パソコンや家庭用ゲーム機のタイトルに携わりたいと考えていたので、嬉しく思っています。
人気タイトルなだけに、多くのゲームプログラマーが関わると思いますが、羽鳥さんはどういった役割を担っているのでしょうか?
そうですね。タイトルにアサインされたばかりで、まだ本格的に業務に携わっているわけではないのですが、主にゲームのUI(ユーザーインターフェース)、シーケーンス、デバッグを担当することになると思います。
社会人3年目で一念発起。まったく未知のゲームプログラマーへ
そもそも、羽鳥さんがゲームに触れたのはいつですか? 子どもの頃からゲームが好きだったのでしょうか?
子どもの頃からゲームが好きでした。ただ、「ゲームの仕事に就きたい」とは思わず、高校卒業後は「とりあえず働こう」という軽い気持ちで、バス会社へ就職しました。今思えば、ゲームと全然関係のない仕事ですね。仕事にも慣れて、社会人3年目を迎える頃に、ふと「別の道に進みたい」と考えるようになりました。ゲーム配信動画が好きだった私は、何気なく配信を見ていたところ、視聴者が作ったゲームを遊ぶという企画の動画が流れていました。それを見た時に「ゲームってひとりで作ることができるんだ!」と衝撃を受けたのです。
「ゲーム」というと、大企業が作るもの、人数をかけて作るものというイメージがあったのですが、個人で作れるなら私もやってみたいと思ったのです。次の日には、ゲームプログラミングを学べる学校を探していましたね。
すごい行動力ですね! 仕事のやりがいもあったと思いますが、それほどまでにゲームプログラミングとの出会いが大きかったわけですね。
そうですね。今まで自分になかった選択肢ではありましたが、「挑戦したい」という気持ちが芽生えましたね。
学校選びで重視したのは「通いやすさ」
ゲームプログラミングを学べる学校はいくつかあると思いますが、どのような視点で進学先を選びましたか?
地元・栃木から通うことになるため、「通いやすさ」を大切にしていました。ゲームプログラミングを学べる学校の多くは都心部にあり、栃木から通うのは現実的でありません。そこで、一番通いやすそうな埼玉・大宮で探すことに。ほかにも「短期集中」で学べることも重視していました。というのも、できる限り時間をかけずにゲームプログラマーとして活躍したかったからです。
学校選びにおいて、不安などはありませんでしたか?
「もうやるしかない!」という気持ちの方が強かったですね。出願した時期が遅く、オープンキャンパスには参加できませんでしたが、オンラインでスタッフの方と話していたので、特に不安はありませんでした。そもそもゲームプログラミングの知識がなかったので、カリキュラムなども気にせずに進学先を決めました。
自分から積極的に先生へ質問。前向きな行動が今につながる
その後、ヒューマンアカデミーゲームカレッジに入学されたわけですが、入学してからは、どのようなことを意識して学んでいましたか?
短期集中で学びたいとは思ってはいましたが、学校生活は長いようで短いもの。そこで、授業中はもちろんですが、授業外でも先生に積極的に質問をしていました。授業でわからなかったこと、実装したい機能......ここで積み重ねた知識が今に生きていると思います。
これからゲームカレッジに入学される高校生にアドバイスするとしたら、やはり積極的に先生に質問した方が良いということですね。
はい。ただし、先生に質問しているだけだと、自分で調べる能力が失われるのも事実。わからないことは自分で調べること。それでもわからない時に先生に質問する。そうすることで知識は広がると思います。また、はじめは先生が打ったコードを見て学ぶことが多くなりますが、それをずっと続けていると、自分でプログラムを組んでいる感じが薄れてしまいます。先読みして自分でプログラムを組んだり、試行錯誤をしたりしていると、ゲームプログラミングの楽しさに気づけると考えています。
プロの仕事を体感できた「GLOBAL GAME JAM®」
ゲームカレッジの特徴として、在学中にゲームタイトル10作品を制作し、ゲームコンテストへチャレンジしたり、業界トップランナーのセミナーを年間15回以上開催したり、チーム制作中心の超実践型カリキュラムがあったりしますが、何か印象に残っていることはありますか?
そうですね。「実践的」という観点で言えば、ヒューマンアカデミー秋葉原校で行われた「GLOBAL GAME JAM®」に参加できたことは、自分の力になりました。ヒューマンアカデミーが主催するイベントではありませんが、ゲーム業界で活躍するゲームプログラマーと一緒に作品づくりに関わり、プロの仕事を体感することができました。
そこでは、どのような経験をしましたか?
ゲームはプログラマーひとりでは作れません。ほかのデザイナーの方やプランナーの方とやりとりしたり、開発現場のお話も聞けたりしたので、とても貴重な経験でした。また、私は社会人経験もあったので、人との接し方やコミュニケーション能力について評価いただきました。ゲームプログラマーになって思うのは、人と接する機会が多いこと。分業制のもとでタスクの割り振りも行われるので、コミュニケーション能力はとても大事だと思います。
作品づくりにどれだけ時間をかけるかが、成功のポイント
その後、就職活動に臨まれると思いますが、大切にしていたことや、成功のポイントについて教えてください。
成功のポイントは、作品づくりだと思います。プログラマーである以上は、やはり知識やスキルが問われます。作品はそれらを証明する成果物として欠かせないため、時間をかけて準備しました。作品づくりにどれだけ時間をかけたかによって、面接でのアピールポイントも違ってきます。そこが第一歩だと思います。
作品づくりにおいて、気をつけていたことなどがあれば教えてください。
書類選考や面接で見てもらえる作品は限られます。仮に10作品あったとしても全部見てもらえないので、ひとつの作品に時間をかけてこだわりました。
面接では作品について質問されることも多いと思いますが、作品の中身だけでなく、こだわったポイントを伝える力も重要だったりしますか?
そうだと思います。私はセガのインターンシップに参加した後に早期選考に応募したのですが、最終面接で不採用になってしまいました。その後、一般選考で内定をいただいたわけですが、何度か面接を受けたことで、伝える力は鍛えられたと思います。加えて、自分の作品についてもアピールポイントが薄かったのではないかと考え、作品についても手を入れました。
こだわるポイント自体はどこでも良いと思います。私の場合は、特殊なゲームシステムをどのように実装し、デザイナーの方やプランナーの方が助かるような仕組みづくりとして、デバッグ作業をいかに効率化するかという点にこだわりました。こだわったポイントがゲームの中身でなくても、こういうポイントが明確にあった方が良いと思います。特にデバッグに関しては、ただゲームを作っているだと目が届かないので、そういうところに目を向けるのも良いかもしれません。
最後に、これからゲームプログラマーを目指している方にメッセージをいただけますか?
「ゲームが好き」「ゲームに関わる仕事がしたい」という方も多いと思います。そういう方に伝えたいのは、やる気とモチベーションさえあれば、ゲームプログラマーは目指せるということ。私はヒューマンアカデミーに入学するまで、まったくプログラミングがわからない状態でした。そこから1年で作品を作り、セガに入社できるくらいまでプログラミングを身につけることができました。与えられた時間を活かして、積極的に行動してほしいです。また、プログラミングを楽しめることも大切なポイント。先生が書いたコードをコピーしているだけでは、その楽しさに気づけません。試行錯誤を通じて、プログラミングの楽しさを見つけていただきたいです。
羽鳥歩
- 職業:
- ゲームプログラマー
- 所属:
- 株式会社セガ